おさなごころの君に、

茜色の狂気を ものがたりに綴じて

概念になりたかった

ものがたりに逃げてしまいたい 逃げてしまいたいのに、 あたしはあたしをとりまく 大気にすら埋められそうで 頸動脈をおさえて意識を遠のかせても 肉体の重みは変わらない 概念になりたかった 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「星に願いを」 [まとめ…

薔薇の花

愛されたいとか 求められたいとか そんな ありきたりな承認欲求は皆無で たぶんもう そうそう 満たされることはないのだろう 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「星に願いを」 愛するということ 新訳版 作者: エーリッヒ・フロム,Erich Fromm,鈴木晶 …

#蛙化現象

さよならバイバイ おやすみじゃあね 僕のこと好きだなんて言わないで 君のこといらなくなる わからなくなる だから離れて、二度と思いださないで 【kindle ことことこっとん】 お題「恋バナ」 恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS) 作者: ヤマシタトモコ 出版社/…

#葬式に呼んでください

君に無垢の晴れ着なんて似合わない だから死ぬまで待ってくれるか 【kindle ことことこっとん】 お題「プロポーズ」 もらい泣き (集英社文庫) 作者: 冲方丁 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2015/08/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る …

眠り姫モード

これはもう、本格的に眠り姫モード突入おやすみなさい 【kindle ことことこっとん】 お題「マイブーム」 おどる12人のおひめさま―グリム童話 作者: ヤーコプ・ルートヴィッヒ・グリム,ヴィルヘルム・カール・グリム,エロール・ル・カイン 出版社/メーカー: …

乳白色の竜のひな

睡眠に依る罪悪は ひとたび眠り 目覚めてなほ、眠りの淵 この身あずくる夢のきは 乳白色の竜のひな孵る奇跡と 似て非なる、相似性をもつて おまへを呼ばふ 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「雨の日の過ごし方」 雨の日はファンタージエンへ行ける気…

異世界のとびらをひらく鍵

おまもり代わりの金の指輪は 願いごとを叶えてくれるわけでも 異世界のとびらをひらく鍵でもない それでもわたしは何かを期待して 明けても暮れても身につける 【kindle ことことこっとん】 お題「愛用しているもの」 「ナルニア国ものがたり」全7冊セット …

僕の知らないところで みんなみんな しあわせになってください

僕の知らないところでみんなみんなしあわせになってください 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「お部屋自慢」 作画資料写真集 女子部屋 作者: 川本史織 出版社/メーカー: 玄光社 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 堕…

しっとりしとしとしらんぷり

しっとりしとしとしらんぷり 滴るしりとりしたり顔 しなやかしめやか舌足らず しんしんしるしるしるぶぷれ 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「お部屋自慢」 ムーン・パレス (新潮文庫) 作者: ポール・オースター,Paul Auster,柴田元幸 出版社/メーカ…

三十一文字は長すぎて 十七音のデッサンを仮縫いする日々

三十一文字は長すぎて 十七音のデッサンを仮縫いする日々 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「お部屋自慢」 作画資料写真集 女子部屋 作者: 川本史織 出版社/メーカー: 玄光社 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 堕落部…

誘蛾灯

人に生まれ人に育って人のまま蛹になって孵化しない繭のままいつか誘蛾灯に焼かれる夢をみている 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「お部屋自慢」 Casa BRUTUS(カ-サブル-タス) 2018年3月号 [照明上手] 出版社/メーカー: マガジンハウス 発売日: 2018…

熱い指先

熱い指先 雨に濡れてる熱い指先赤いくちびる薄いくちびるやわい甘い白い甘噛み揺れるまわる廻るむらさき滲む澱むにじむよどむ屑屑屑舌先に物乞い 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「お部屋自慢」 BRUTUS(ブルータス) 2018年5/15号No.869[居住空間学20…

✿雛飾るたなごころからたなごころ 楢﨑古都

【商家に伝わるひな人形めぐり俳句大賞】*1 ✿佳作・入選 雛飾るたなごころからたなごころ 楢﨑古都 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「あの人へラブレター」 I Love Youの訳し方 作者: 望月竜馬,Juliet Smyth 出版社/メーカー: 雷鳥社 発売日: 2016/1…

浮かれ猫ひとりの朝の空はきれい

細雪出逢えば愛を知ってしまう 蒼穹に風花として君よゐて 彼れ(あれ)と君、六花も解かす方程式 ◎ 浮かれ猫ひとりの朝の空はきれい 羽風さへ僕らを分かつふいの蝶 春泥にはしゃぐ禿のまばゆさよ 【kindle ことことこっとん】 今週のお題「自己紹介」 寺山修…

 「かなしみの羊水」 楢崎櫻子

■Instagram #淡水魚化石 まるで、かなしみの羊水に溺れてしまったみたいだ。 ぬるい水にあおむけの体で浮き沈みしながら、依子はおもった。 たまに口元へかぶるプールの水はなめらかで、カルキ臭もやわらかい。たゆたっていると、コースを泳いでいくひとの水…

残酷で当然じゃないか、僕らは子どもだったんだから。

〇五二 彼もまた環世界を構成する一部に過ぎなかった。 大人たちに、社会に、いいようにされたなんて これっぽっちも思っちゃいない。 いつか僕はしぬだろう、そして、彼は目覚めるだろう。 残酷で当然じゃないか、僕らは子どもだったんだから。 おとぎ話の…

淘汰されることを、恨みがましくも思えないんだ。

〇五一 覚えていて欲しいんだ。 ほかに、手立てがないってのもあるけど。 僕が笑っているのがおかしいって? そうだなあ、僕自身のことも、記録として 留めおきたいって気持ちが少なからずあるからかな。 それってしょうもないだろ。 淘汰されることを、恨み…

ふるえるよ、ぞくぞくするね。

〇五〇 君のこと、もう傷つけることもできないのかって、 いまさら気がついて、いまさら僕は傷ついた。 傷ついて、改めて君を傷つけることに決めた。 君は、その生体機能をありとあらゆる人工知能によって、 機械化という無機物的行為によって、すべてを 完…

こっぱずかしい夜更けの恋文とでも位置付けるのが最適か

〇四九 これは君と僕との往復書簡、 互いに互いへと送りあった相聞歌、 僕から君への想夫恋。 こっぱずかしい夜更けの恋文とでも位置付けるのが最適か。 不意に思い出された断片も含め、なるべく時系列に沿って 日々の日記らしく再構築したいと思っている。 …

これは書簡である旨を明記する

〇四八 まずはじめに、これは書簡である旨を明記する。 現時点での僕は未熟極まりない若輩者だ。 君をそそのかし、勝手な実験を進めた生物学教授への 罵詈雑言はともかくとして (などと、記さずにはいられないあたりが 僕という個としての幼さの象徴だろう…

あの頃の僕は意識でしかなかった。

〇四七 僕は怖れたのだろうか。 独りで生きていくということを、 誰かに置き去りにされる可能性を。 君という検体と出会うまで、 僕はギムナジウムに入学することすらかなわず、 研究施設で全身を管に繋がれ、かろうじて生かされていた。 あの頃の僕は意識で…

僕らのはじまりは同情だ、愛情じゃない。

〇四六 僕らのはじまりは同情だ、愛情じゃない。 同情が愛情に変化した、変化して憐憫にでもなったか。 無様だ、ひどく身勝手だ、醜悪だ、愚かだ。 僕は君を愛していた、気づいていたか。 僕もまた君に愛されていた、それはもう重すぎるほどに。 君の愛情表…

パートナー解消の可能性は予め本人同士に示唆されている。

〇四五 パートナー解消の可能性は予め本人同士に示唆されている。 いざ新たな候補者の通知を受けたときも彼らは淡々と それを受けとめる。 やがて番いとなりうる出会いこそを彼らは望んでいるから。 また、このパートナー解消によって再び「借りモノ」ペアを…

最初の二人が、最期まで最適なパートナーであり続けることの方がむしろ珍しい。

〇四四 アルゴリズムによってはじき出されたパートナー候補は、 必ずしも同年齢とは限らない。 それはすなわち、 すでにギムナジウムという学び舎で勉学に勤しみ、 衣食住の生活を共にしているパートナーの解消を 意味する。 決して、珍しいことではない。 …

初恋という名のおとぎ話をも無数に産み落とした

〇四三 アルゴリズムの確立。 パートナーとの対面は初恋という名の おとぎ話をも無数に産み落とした。 「めでたしめでたし」とでも付け加えたいくらい 仕組まれた出会い。 僕らはいまでも生殖行為によって子を授かる。 ただし、かつて人類種が有性生殖種のみ…

人類は多種多様な性質を擁し、進化もしくは退化した。

〇四二 人類は多種多様な性質を擁し、進化もしくは退化した。 この一種異様な同時多発的突然変異については、 専門家のあいだでも未だ意見が分かれる。ただし、 いまここで特筆すべき事案は選択された社会形態である。 人々がより容易く生きるため、 対とな…

膨大な情報によって結ばれた関係性は、できすぎるほどにできすぎていた

〇四一 ルームメイトに選定された者同士は多かれ少なかれ生涯の友、 いわゆるパートナーと呼ばれる唯一無二の番いになることが多い。 喧嘩別れと言ってしまってはいささか乱暴が過ぎる気もするが、 相当の不和がない限りパートナーとして選定された二人が 各…

君は植物学的に限りなく被子植物に近しい生物へと進化しはじめていた。

〇四〇 言葉どおり君は植物人間になった。 かつて、全身を管に繋がれ、意志も意識もなければ、 限りなく生命という無垢の状態に近しい状態を 維持されていた検体とも異なる。 当時、脳死判定は他者にその者の臓器を提供し 命を賭するという、いまの僕らの社…

離れてはならないという縛りが、僕らから僕たちの心を奪った。

〇三九 僕らは似た者同士で、互いのことを分かり過ぎていて、 そのせいで互いに互いのが痛々しくて、 相手の振る舞いに、伏せたまつ毛に、 そらされた視線に、きびすを返された背中に、 いちいち自分自身を俯瞰して見てしまって、 それはとてもつらく仕方の…

君の身体は、徐々に木質化していった。

〇三八 ざまあみろ、と言ってるんだ。 君は君のすべてを僕に差し出して、もう二度と目覚めない。 君の身体は、徐々に木質化していった。 僕が閉じ込められたと思い込んでいたこの温室は、 実のところ君という生命を永遠に培養しつづけるための 装置だったわ…