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茜色の露草 瑠璃色のカテドラル

プロット 書き溜め、。

それならぼくは、番い目にでもなろうか。ぼくが箍にさえなってしまえば、きみのその不安はすべてこのぼくが受けとめてしまえる。

恭一はとても安易な理由で、茜ちゃんをひとり残して逝った。 ある時期、茜ちゃんはとても不安定だった。幼馴染ではあったけれど、恋人ではなかったとおもう。ただ、子どもの頃からずっと兄妹同然に育ってきたから、そんじょそこらのぽっと出カップルなんかと…

額にはりついた、遅れ毛の一本一本まで鮮明だ。

教室。始業前の、まだだれもいない教室。わたしは瑠璃子をさがしている。夢だとわかる。学年の違う彼女が、ここにいるはずがないのを知っているからだ。自分はいま、自分の夢を俯瞰している思考だ。 ぐるりと見渡し、まだ低いが強く差し込む陽を遮るために、…

コップの底を薄く濡らす程度の存在価値しか見出せない

茜ちゃんはいちいち律儀だ。 むかし好きだった男のことまで、いつまでも気にかけている。初恋とはそうも貴重なものだったかしらと考える。たとえば、ロングスカートの裾が歩くたび足にまとわりついてくる感じに似ている。使い古されてチープな匂いのする、未…

この子はばかだから、ばかでほんとうによかった

勝手に、神聖かつ厳粛な雰囲気を期待していた。物静かな夫婦や、白髪を品よくまとめた婦人、スコッチツイードのジャケットにループタイの老紳士、緊張した面持ちでひとりきり腰かけている小学校低学年らしき男児、そこへ「クリスマスおめでとう」と顔を覗き…