おさなごころの君に、

茜色の狂気に、ものがたりを綴じて

捕食されるのを待ち構えるしかない小動物の気持ち

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〇一五

「卒業したらどうすんの」

「君は」

「聞いてんのこっち、教えてよ」

「施設」

「なにそれ、専門職? 資格でもとるの」

「違う」

「機嫌悪い」

「僕にばっか聞くなよ」

「進学しないの」

「人それぞれだろ」

「んーまあ、そうなんだけどさ」

僕の謂わんとするところを、きっと君はもう理解している。

だからそんな、

煮え切らなさを誇示するような不遜な態度なのだ。

捕食されるのを待ち構えるしかない小動物の気持ちってこんなか。

見据えられる視線の白々しさに、平静を保つので精一杯だった。

 

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お題「行きたい場所」