君は植物学的に限りなく被子植物に近しい生物へと進化しはじめていた。
〇四〇
言葉どおり君は植物人間になった。
かつて、全身を管に繋がれ、意志も意識もなければ、
限りなく生命という無垢の状態に近しい状態を
維持されていた検体とも異なる。
当時、脳死判定は他者にその者の臓器を提供し
命を賭するという、いまの僕らの社会では
到底考えられない人体療法も実践されていた。
君は植物学的に限りなく被子植物に近しい生物へと
進化しはじめていた。
出会えば、愛を知ってしまうのかもしれない。
- 作者: Kazuo Ishiguro
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言葉どおり君は植物人間になった。かつて全身に管を繋がれ意識も意志もなく限りなく生命という無垢の状態に近い状態を維持されていた人体とは異なる。あれを脳死と判定し他者にその者の臓器を提供するといった行為も行われていた。一方君は身体そのものが生物学的に限りなく植物寄りに進化を続けている
— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) February 2, 2018