おさなごころの君に、

茜色の狂気を ものがたりに綴じて

光の庭

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〇六〇

光の庭で子どもたちはやがて、

種子が芽生えるようにきゃらきゃらと遊びはじめる。

手をつないで腕を組んで、じゃれあうことが

ひとつの意思疎通の方法であるかのように

互いの親密性を確かめ、誇示しあった。

きっと、あれこそが

僕という人間が持ちあわせなかった子どもらしさだった。

 

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お題「起きて最初にすること」

Banana fish another story (小学館文庫)

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あなたが緑の黒髪と愛でるわたしの長い髪。

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〇五九

わたしの褐色の肌色。

あなたの透きとおるような青白い肌色。

あなたが緑の黒髪と愛でるわたしの長い髪。

抜けやすく切れやすい、あなたの光沢のない白い髪。

わたしとあなたは、現代社会においてあからさまが過ぎるほど、

つややかであり、貧相であった。

 

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緑の黒髪 (花とゆめコミックス)

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うだるような夏の暑い日の記憶が、怒濤の文字の海からうねりをあげ押し寄せてくる。

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〇五八

うだるような夏の暑い日の記憶が、

怒濤の文字の海からうねりをあげ押し寄せてくる。

ともすると一気に飲み込まれてしまいそうな既視感。

意識を失えば、僕のからだはすでにこちらへ

歩み寄りつつある男の腕に抱きとめられて、

それからそのさきは極限までの輝かしい白。

僕は僕のなかへ還っていく。 

 

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夏の庭―The Friends (新潮文庫)

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君が僕を必要としてくれている、その優越感に安堵するのだ。

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〇五七

つややかな黒い髪、それが無造作に流れる背中、

ときどきむせてびくつくのを、僕はどこかおそるおそる捕まえている。

君が僕を必要としてくれている、その優越感に安堵するのだ。

依存しているのは僕の方だ。

けれど、それを君に気づかれてはならない。

 

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君をみつめてる

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