おさなごころの君に、

茜色の狂気に、ものがたりを綴じて

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

まるで繭でもつくるように、君が僕らを苔生してゆく。

僕は自分のブランケットで君を包みこんでいた。 その内側、つながる手と手、芽生えたものは じょじょに群生となって、 這うように互いの素肌を覆っていく。 いつもなら外へ外へと向かっていく蔓性のそれとは違い、 まるで繭でもつくるように、君が僕らを苔生…

それは肉厚なベルベット様をしていて、鈍い光を内から放っていた。

〇六五 それは肉厚なベルベット様をしていて、 鈍い光を内から放っていた。 わずかな光を吸収して反射しているのかともおもったが、 いまや互いに寄り添うよう腰をおろした僕らを中心に、 その花らしいものはつぼみをつけて咲き、 光を失ってゆくとともにし…

互いの境界を曖昧にしてきたまどろみは一瞬にして失われる。

〇六四 浸食されるがままにまかせていた肉体に 刺さるような痛みが走る。 溶けあうように同調し、重なり、親密に互いの 境界を曖昧にしてきたまどろみは一瞬にして失われる。 表層を這っていた君の無意識、僕という丸裸の自意識。 脳髄の奥、そこへ直接響く…

名も知らぬ草花のようななにかが、

どこから飛ばされてきたのか、 道ばたにちょんと咲いて土へ還ってゆく 名も知らぬ草花のようななにかが、 君の腕から生えてくる。 見たこともないそれは、普段、君の左胸から 芽生えて僕の左手首へと巻きつき同化する、 蔓性植物にも似た血管のそれとはまる…

もはや植物と判別した方がただしいのではないか。

〇六三 もはや植物と判別した方がただしいのではないか。 毛細血管が変容したものとして、一応のところ 定義されている蔓状の枝葉を君は繁茂させる。 拠りどころなく、外へ外へと向かっていた成長過多は 受容体を得たことでその無数の螺旋を僕のからだへ 二…

僕らの自由とは、いったい全体、この社会のどこに存在したのか。

〇六二 僕らの自由とは、いったい全体、 この社会のどこに存在したのか。 【kindle ことことこっとん】 ✿✿ 参加しますෆ (๑'ᴗ'๑)۶✐¯:.*೨✧ ✿✿ 【文学フリマ東京】11月25日(日) @流通センター 秋の文学フリマ出店します☺︎お時間ある方ぜひに〜ෆ (๑'ᴗ'๑)۶✐¯:.…

ともだちなんていらない。

〇六一 僕らはなんて不便になってしまったんだろう。 かつての僕らにはこんな物理的な方法なんて必要なかった。 このまま君という無意識に飲み込まれて、 生まれる以前のものになりきってしまえたなら、 僕らはまたひとつに繋がることができるだろうか。 と…