おさなごころの君に、

茜色の狂気に、ものがたりを綴じて

ぐちゃぐちゃになるまで煮込む

わたしたちは子どものかたちをしていたけれど、いつのまにか精神ばかりが膨れあがった頭でっかちな子どもの群れに育っていた。

中等科・高等科はそれぞれ三年の一貫教育で、男女別の寮生活に変わる。初等科のあいだ、子どもたちは男女の区別なく育てられるが、恭一のように飛び抜けて進級していく子どもたちは、特別進学科に割り振られ、初等科へ通う子どもたちと引き続き生活だけは共…

不揃いな苺にたくさんの砂糖をまぶして ぐちゃぐちゃになるまで煮込むと美味しいジャムが出来る

あんたの後悔が、わたしはうれしい 厚かましさこそ、愛情を測るものさしだ わたしはただ、欲望を受けとめる 容器になりはて ぐちゃぐちゃになりたいとぼんやり願う そうだな、たとえば不揃いで 消費期限も近づいた見切りの苺パック これでもかってくらい上白…

それならぼくは、番い目にでもなろうか。ぼくが箍にさえなってしまえば、きみのその不安はすべてこのぼくが受けとめてしまえる。

恭一はとても安易な理由で、茜ちゃんをひとり残して逝った。 ある時期、茜ちゃんはとても不安定だった。幼馴染ではあったけれど、恋人ではなかったとおもう。ただ、子どもの頃からずっと兄妹同然に育ってきたから、そんじょそこらのぽっと出カップルなんかと…

田舎に帰ったあの子の、出せなかった手紙

いつまでもおなじ過ちをくり返すのはやめて 大切にすると決めた相手を 今度はどうか、 あなた以上に大切な存在として、 きちんとあいしてあげてください。 いま、あなたがつきあっている彼女の気持ちが 痛いほどわかるので、返事はしませんでした。 わたしに…