おさなごころの君に、

茜色の狂気に、ものがたりを綴じて

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

木蓮は春のちょっと手前だから、少しさみしいね

「木蓮の花の純白ベルベットはウェディングドレスには向かないねー、せめて散るまではきれいでいたらいいのに、見てよ、まだ満開なのにもう茶色く荒んじゃって、灰かぶりのドレスだって、こんな中途半端な魔法の解け方はしないわよ」 定期健診に付き添った帰…

男という生き物はどこまでも愚かだ。

男という生き物はどこまでも愚かだ。愛したつもりで、簡単にその手のひらを翻す。わたしたちが、女という生き物が、いくらでも自分たちを抱きとめてくれると信じ込んでいる。頭をなで、ひざを貸し、愛しているとささやけば、安心しきって寝息を立てはじめる…

わたしたちは子どものかたちをしていたけれど、いつのまにか精神ばかりが膨れあがった頭でっかちな子どもの群れに育っていた。

中等科・高等科はそれぞれ三年の一貫教育で、男女別の寮生活に変わる。初等科のあいだ、子どもたちは男女の区別なく育てられるが、恭一のように飛び抜けて進級していく子どもたちは、特別進学科に割り振られ、初等科へ通う子どもたちと引き続き生活だけは共…

不揃いな苺にたくさんの砂糖をまぶして ぐちゃぐちゃになるまで煮込むと美味しいジャムが出来る

あんたの後悔が、わたしはうれしい 厚かましさこそ、愛情を測るものさしだ わたしはただ、欲望を受けとめる 容器になりはて ぐちゃぐちゃになりたいとぼんやり願う そうだな、たとえば不揃いで 消費期限も近づいた見切りの苺パック これでもかってくらい上白…

それならぼくは、番い目にでもなろうか。ぼくが箍にさえなってしまえば、きみのその不安はすべてこのぼくが受けとめてしまえる。

恭一はとても安易な理由で、茜ちゃんをひとり残して逝った。 ある時期、茜ちゃんはとても不安定だった。幼馴染ではあったけれど、恋人ではなかったとおもう。ただ、子どもの頃からずっと兄妹同然に育ってきたから、そんじょそこらのぽっと出カップルなんかと…