うすら青い幼体のからだは羽化直後の蝉のそれに似て、半透明の色白さで、脆くやわい。
〇五六
雌雄の区別もおぼつかない、うすら青い幼体のからだは
羽化直後の蝉のそれに似て、半透明の色白さで、脆くやわい。
みなうつむき気味に、時間の止まった海に留め置かれている。
魂の宿った片鱗は見当たらない。
半永久的に保存するには、生身の命はあまりに不便だった。
[新世界]透明標本2: New World Transparent Specimens 2
- 作者: 冨田伊織
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/16
- メディア: 大型本
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雌雄の区別もおぼつかない、うすら青い幼体のからだは羽化直後の蝉のそれに似て、半透明の色白さで、脆くやわい。みなうつむき気味に、時間の止まった海に留め置かれている。魂の宿った片鱗は見当たらない。半永久的に保存するには、生身の命はあまりに不便だ。#夜縫い #星屑と人魚 #文学フリマ
— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) September 28, 2018