甘露をいただいているように僕には見えた
〇三六
「いったい誰の涙を舐めたのさ」
思い返せばあれが、僕らのいちばんの大喧嘩だった。
「ねえ、どうして苦いなんて知ってるんだよ。
僕は泣いている子の頬を伝うあれを愛しそうに
舌先ですくってあげている上級生を見たことがあるよ。
あれは全然苦くなんてなさそうだった」
むしろ、甘露をいただいているように僕には見えた。
子どもの頃、ハッカ味はどうしてもハズレだったのに、
どうしてこうして大人になったら好きになってしまうもの。
ねえ君、 誰のを舐めたの。そういえばあれが思い出す限り一番の大喧嘩だった。ねえどうして苦いなんて知ってるの。僕は泣いている子の頬を伝うあれを愛しそうに舌先ですくってあげている上級生を見たことがあるよ。あれは全然苦くなんてなさそうだった。むしろ甘露をいただいているように僕には見えた
— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) 2018年1月28日